お知らせ
2010.08.11 メディア掲載
エンゼルメイクについて公益社のエンバーミングセンターが産経新聞夕刊で紹介されました。
遺族の心 そっと包む エンゼルメイク/言葉のかけ方
(産経新聞2010年8月11日付夕刊)
医療従事者を対象にした「遺族ケア」の勉強会が盛況だ。亡くなった人の顔を安らかに整える死化粧(エンゼルメイク)のコツや、遺族への言葉のかけ方などのノウハウが内容。核家族化や地域の結びつきの希薄化で、近親者の死別後、遺族が悲しみを乗り越えにくくなるなか、こうした遺族ケアへの取り組みが注目を集めている。
「男性は口紅だと不自然になりがち。クリームファンデーションの茶色をつけてみてください」
8月初旬の土曜日、大阪市中央区の公益社大阪本社の一室で、行印関係者限定の特別セミナーが開かれていた。集まったのは看護師や保健師ら約30人。エンゼルメイクの実習に備え、両手に薄い灰色の手袋をはめたまま講師を務める同社関西エンバーミングセンター副センター長、宇屋貴さんお話に熱心に耳を傾け、メモをとる。
参加者は、テーブルに用意されたマネキン人形の唇に、本来肌に塗るファンデーションを筆にとり、そっと塗っていく。徐々にうっすらピンク色を帯びてきたマネキンの唇に、「自然やわ」とざわめきが起こる。
セミナーでは、メイクのほか、遺族の不満や怒り、感謝の言葉などをもとにまとめた「ご遺族への対応」、遺体を防腐、殺菌処理して生前に近い姿に修復する技術「エンバーミング」も紹介し、3時間以上にわたるセミナーがおわった。
参加者の一人で済生会茨木病院看護部で看護師の教育を担当する伊津美孝子さんは「家族にとって、亡くなった方の最後はお顔はずっと心に残るから、なるべく生前に近いお顔にしてあげたい。新しい技術を習得し、遺族の気持ちに敏感な人材に育てたい」と話す。
公益社は昨年4月からセミナーを開いているが、病院従事者に参加を呼びかけると、あっという間に定員が埋まる人気ぶりで、回を重ね、すでに130階を超えた。同社マーケティング推進部長、築井伸司さんは「医療側が遺族ケアに非常に力を入れるようになってきた。病院と葬儀社が意識を共有し、連携することで、遺族を支援していきたい」と説明する。
映画「おくりびと」(平成20年公開)のヒットなど遺族ケアに対する関心は徐々に高まっている。エンゼルメイクについて解説した「ケアとしての死化粧」(日本看護協会出版社)は部数を伸ばし、この手の書籍では計5万部という上々の売れ行き。埼玉医科大学国際医療センターで「遺族外来」が設置されるなど近年、医療現場でも遺族ケアを専門にする取り組みが増加している。
「悲嘆学入門―死別の悲しみを学ぶ」などの著書がある関西学院大学人間福祉学部の坂口幸弘准教授の話
「いま死別後の家族内や地域での支え合いの力が弱くなってきている可能性がある。医療関係者は、患者が亡くなる前から家族と接しているため、亡くなった後、遺族のケアを行なう上で特別なポジションにいる。医療関係者が遺族ケアのことを知ることは遺族にとって大きな力になるだろう」
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産経新聞2010年8月11日付夕刊
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