独創的な演出と参列者の錚々たる顔ぶれが話題となった、日清食品創業者・安藤百福氏の社葬の様子についてご紹介します。
2018年後期のNHK朝の連続ドラマ小説『まんぷく』は日清食品創業者の安藤百福夫妻をモデルにしているということで、昨今話題となっています。
安藤百福氏は「チキンラーメン」や「カップヌードル」などの国民的食品である「即席麺」を世に送り出した実業家です。氏の社葬は2007年2月27日に日清食品主催・公益社の施行で大阪市の京セラドーム大阪で執り行われました。
葬儀委員長には、安藤氏と生前から親交の深かった中曽根康弘元首相が就任し、業界や政財界よりおよそ6500人の参列者が一堂に会しました。他に類を見ない大変大きなスケールの社葬であったと言えます。
社葬の準備にあたっては、規模の想定や場所の選定をはじめ数多くのことを決定していかなくてはなりませんが、まずどのような社葬にするかのコンセプトを決めることが重要となります。方法が見つからず困窮した時や判断に迷う時、コンセプトがあればそれに立ち戻ることで新たな突破口が開け、方向を見失わずに物事を進められるからです。社葬を準備するメンバー同士での意思疎通もしやすくなります。
安藤氏の社葬では、氏が晩年「宇宙食ラーメン」の開発に心血を注いでいたことから、社葬のコンセプトは「安藤会長を宇宙へお送りすること」と決定しました。そこから壮大なスケールの「宇宙葬」が企画・実行されていきます。
多くの参列者が想定されたこととあわせ「宇宙葬」のコンセプトを掲げたことから、「宇宙空間」を作り出すのに最適な場所として、会場は京セラドーム大阪となりました。暗幕に多くのLED電球を貼りつけた広大なLED幕が銀河を再現し、間口が100mを超える巨大な祭壇が設えられるなど、その空間は最大限に生かされました。
式次第も独創的でした。仏式にて執り行われましたが、通常の読経にあらず、34人の宗教者を招聘し読経とシンセサイザーの生演奏を組み合わせた演出がなされました。宇宙飛行士の野口聡一氏からのビデオメッセージも上映され、会葬者を幻想的な宇宙空間に引き込みました。
また小泉純一郎 元首相や福田康夫 元首相夫妻など各界の著名人が参列し、参列者の錚々たる顔ぶれも話題を呼びました。
あらゆる点で大規模かつ独創性にあふれた葬儀でしたが、この大規模な葬儀をつつがなく進行していく上では、関わったメンバーの故人や参列者に対する敬意と、周到な準備がありました。
社葬とは、故人の功績を称え追悼することを主たる目的とした一大行事ですが、企業同士の交際や、政財界関係者との関係性を維持していくために大切な企業活動でもあります。そして、社葬を一緒に作り上げ実行したメンバー、社のスタッフの気持ちを一つにするものでもあります。創業者を送るために何ができるか、これまでの足跡をいかに残し知らしめるかを考え実行することは創業者の歴史とともに会社の歴史を紐解くこととなり、これらの経験はすべて企業の今後に活かされるでしょう。
もちろん社葬は数十人規模の企業でも開催することができるものです。事前準備や当日に向けた段取りを工夫し、自社施設にて社葬を執り行う会社もあります。
自社らしい社葬を滞りなくとり行うためには、社葬規程の設定や参列者情報の管理、当日の会場準備や担当者の役割分担など数多くの準備項目があります。自社のカラーをしっかりと出した社葬やお別れの会をお考えの企業様は、お気軽に公益社にご相談ください。
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